日本の未来のために、企業の社会的責任として 株式会社アセットアソシエイツ代表取締役伊藤修司

「都市鉱山」という言葉が叫ばれて30 年…。未だにこの「都市鉱山」が有効に活用されておりません。それは、IT・情報機器の回収と金属を製錬する再資源化のプロセスおいて、多大なコストが必要であることから「経済合理性がない」と判断し、各企業、団体が消極的であったことが一因です。しかし、弊社(㈱アセットアソシエイツ)は「経済的な一面だけで、この問題に目を背けていてよいのか?」との疑問から、長年解決できなかった都市鉱山課題にチャレンジしています。

次世代へ残す「美しい自然」は、私たち世代の大切な使命───。

「都市鉱山」課題には、大きく分けて2 つの問題があります。それは「経済問題」と「環境問題」です。「経済問題」では、あらゆる金属資源を輸入に頼っている日本において、自給できない資源課題は大きな「経済問題」として長年叫ばれ続けています。もうひとつの「環境問題」は、自然伐採や土壌汚染など、金属製錬プロセスと製品後の処分方法が環境破壊に直結することから、我々の身近な問題として取り上げられています。昨今では、法的に化学物質規制が厳格され、メーカーの製造する電子機器に含まれる有害物質は減少しています。しかし、規制前の製品等には有害となる物質が使用されているということ、また、現在無害と位置付けられた物質も、埋め立て処理後の長期的な経年変化において、土壌汚染の可能性が「無い」とは言い切れないことから問題が完全に解決されたとは言えません。一方、金属の製錬プロセスにおいても、鉱山を切り崩し、そこから回収する原鉱石を砕き、分解して金属を製錬する工程そのものが環境破壊と密接に繋がったものであることは明白です。

私たちは、この現状を理解していながら、金属を原料に製品を作る「メーカー責任」という一言で終わらせているのかもしれません。人々が豊かで快適な暮らしを求めることで環境破壊が進み、自然が汚されている現状において、「都市鉱山」の課題解決に向けての活動とともに、その活用はすべての人々が積極的に取り組むべき日本の重要課題といえるのです。

クリーンな現場風景
パソコン回収に必要不可欠なデータ消去作業。処分パソコンのデータ削除(場合によってはHDDを物理的に破壊する)は、セキュリティ管理された倉庫の一室。驚いたのがこのクリーンな現場。

当然ながら、この問題には行政も力を入れて取り組んでおります。2003 年から施行された「パソコンリサイクル法(資源有効利用促進法)」はメーカー主導の金属機器回収に関する法律で、メーカーによる回収・リサイクルを義務付けています。製造元に回収義務を課し、各企業や自治体も積極的に法の周知に力を入れ、その認知度は国民の殆どにいきわたったといえます。しかし、『経済産業省「使用済製品の現行回収スキーム 及び回収状況』によるとパソコンの回収率は87%であり、年間13%(約228 万台)は退蔵分という結果になっています。この退蔵分において考えを巡らすと「実は不正に処分され環境破壊に繋がっているのではないか?」という不安が常につきまといます。また、この228 万台が毎年増加していくと考えるとその物量は膨大なものになります。ではなぜ「退蔵するのか?」。その理由を調査すると「手続きが面倒」「個人情報やデータ(画像、メール文章)の流出が不安」(『経済産業省「消費者アンケートによる使用済み製品の排出・退蔵実態」調査報告(平成24 年度)』)という意見が多いことが解ります。

現状を分析すると、現在の法案による回収政策はA 領域(下図参照)の消費者には有効なものとなっていることが経産省の調査でも分かりますが、将来の回収率向上を図るには228 万台の退蔵分を占めているであろうD 領域の消費者開拓が重要であり、それには前記した退蔵実態の消費者心理を解消する施策を考案する必要があるのです。

消費者の処分パソコンに対する意識イメージ図消費者の処分パソコンに対するイメージ図
処分パソコンに対する消費者意識を上記マトリックス図に照らし合わせて分析を行う。コスト・環境意識ともに高い消費者をA領域、 片方の意識だけが高い消費者をB、C領域、ともに低い消費者をD領域と区分。退蔵パソコンの実態を領域ごとに分析・予測する

「廃棄物処理法」と「パソコンリサイクル法」の現状

伊藤社長
「今日までの回収方法をベースに、新しい手法やPR活動となる”次の一手”を考案する必要がある」と語る伊藤社長。

パソコン処分において消費者から費用を徴収する必要があるのは「廃棄物処理法」によるものです。しかし、消費者は自身の経済状況を優先し「処分費の負担を避けたい」という心理がはたらくことは容易に想像することができ、よく耳にする「無料回収」というサービスを活用する消費者が多いのも頷けます。ところが、このサービスは捉え方によっては「産業廃棄物処理法」に抵触する可能性があります。
これは条文をどう解釈するか…という微妙な部分もありますが、回収パソコンを「処分」という位置づけか「買取り」という位置づけかによって適応の仕方が変わってくるのです。退蔵パソコンを完全に回収することを考えると、「産業廃棄物処理法」だけに頼ってはいられないのです。

また、消費者の中には、自身の処分した情報機器が「環境破壊」に繋がっていると認知していない方もいるかもしれません。更には、意識はあっても処分費負担に抵抗を感じる方もいるでしょう。「パソコンリサイクル法(資源有効利用促進法)」は、処分費用の回収を購入時に行うことで、心理的な「処理コストの軽減」を図っていますが、費用を徴収できたとしても実際に機材が不要になるのは、数年、数十年先の話で、その時点の機器回収が正しく実行されなければ、問題の解決になりません。

これらのことから、過去の退蔵分を含んだ回収率の向上を図るためには、D 領域の消費者に有効な資源回収PR を積極的に行う必要があり、それは都市鉱山における「環境意識の発起」と「処理コストの軽減」という2 軸から考案することが重要なのです。
そして、更なる資源回収のためには「今までにない回収システム」を世間に提案し続けていく必要があるのです。

このような考えから弊社は、「廃棄物処理法のもとでリサイクルを考える」という今までの方法を推奨しつつ、新たな方法とルールを創造する「リサイクルイノベーション」を掲げ、「資源戦略」という位置づけから資源回収論を唱え日々活動を続けています。

日本の未来のために、企業の社会的責任として───

伊藤社長
大きな課題を目前に、自らの目標と使命を語ってくれた伊藤社長。その言葉は、人を魅了する「力強さ」と「優しさ」に溢れた人間味のある温かいものだった。

「新しい仕組み」というものは人々にとって、いつの時代も簡単に受け入れられるものではありません。我々の活動も所々に否定的な意見や厳しい指摘などがあり、この対応と処理に多大な労力を要することもあります。しかし、「我々がやらねば───」という使命感に駆られ、都市鉱山回収の課題にイノベーションを起こし、周囲のご理解をいただきながら、社会に貢献できる企業として成長していきたいと強く志を掲げている次第です。

ここまで語ってきたことは弊社のひとつの取り組みであり、我々が目指す源泉は「問題を組み合わせて解決する」(Combination Solution)というビジネスモデルを理論化し、全国の日本企業や団体に広く展開することが目的です。
税金や公的資金を利用せず、民間資本で持続可能な社会的システムを構築することで、社会全体を麗しく豊かに発展させ、日本の未来を担う企業となることが我々の使命です。

それには、皆様のご理解とご支援が必要不可欠です。どうか弊社アセットアソシエイツの活動にご協力とご賛同を願うとともに、日本の豊かな未来づくりに貢献していければ幸いです。

株式会社アセットアソシエイツ
代表取締役社長 伊藤 修司

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